ピーッピーッ…
おれだ。もも刑事(ももでか)だ。
昨日、お忍びで秋葉原に向う桃山を尾行したんだが、やっこさん妙な建物に入っていくじゃないか。
おれはピンと来たね「こいつは何かあるな…」
オレは帽子を目深にかぶり、店の前に近づく。小さな看板がある…「●山●奈子生誕祭」
…誰やねん!
何やらA●B臭が漂っているアイドルのイベントに(※ARBではない)、あの桃山が出現するとは!?
こいつは裏があるな…。怪しすぎるぜ。
小六のころ、島崎和歌子に入れ込んでいたあいつが、36歳を目前にしてこんな場違いなイベントに来るはずがない。
オレは恐る恐る、明るく清潔感の漂う階段を下りていく。ただならぬ気配だ。
深い…なんて深さだ。地底人の住処だろうか…?
踊り場にフッと男が現れた。とっさに懐のデルタエリートに手を伸ばす。
「3000円です。あとドリンク代500円いただきます」
(…スタッフさんか。)おれは懐からそっと手を離した。
…コルト・デルタエリート。デルタエリートの名で知られるこの銃は、現場でなんどもオレの命を救ってきた。
1987年に開発されたコルト社製の自動拳銃で、まあ、ガバの一種だが、強力な10mmオート弾を使用する。
グリップの赤三角のメダリオンが特徴的な憎いやつだ。
さて、中に入ると桃山の奴、独りでラウンジでビールを呑んでいる。
ほかの客は全員、ステージの方に行っていて、ラウンジには桃山とスタッフ2名。あとはオレだけだ。
明らかに浮いた桃山に、スタッフに不審がられている。
桃山の様子から察するに、アイドル目当てなわけではなさそうだ。
何やら、しきりにメモをとっている。…怪しい。
客席で観るわけでもなく、ショーが再び始まると、さっきの階段にいたスタッフさんとごにょごにょしゃべっている。
名刺の受け渡しをした様子だったが、結局、それなりの金額を払った割に、あっという間に店の外へと出て行ってしまった。滞在時間40分。店を出たところで、やつの姿を見失ってしまった。
桃山調査団からの報告は以上だ。今後、新たな展開があったらまた報告に来るぜ。
ももデカ
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